院長のひとことコラム・・花粉症の上手な付き合い方<2024年2月>

2月からスギ花粉症の時期がはじまります。ひどくなる方は、お薬だけでなく、色々な対策をして、少しでも楽にすごしましょう。
<治療>
● 鼻水、くしゃみの症状は、「抗ヒスタミン薬」の内服が基本です。眠くならない方はアレロック(オロパタジン)やザイザル(レボセチリジン)を<毎日>内服しましょう。
● 各種のカゼ薬や花粉症薬で眠くなる方は、上記を内服すると運転禁止となるので、眠くならない「抗ヒスタミン薬」である、デザレックスやクラリチン(ロラタジン)を<毎日>内服しましょう。
● 鼻づまり、鼻閉には、ステロイドの点鼻薬がお勧めです。ステロイド薬はアレルギーの特効薬であり、点鼻は鼻の一部分に塗るようなモノですから、全身的な副作用の心配はありません。市販の点鼻のほとんどはステロイド薬ではありません。
● クリニックでは、ナゾネックス点鼻(モメタゾン点鼻)、アラミスト点鼻(フルチカゾン フランカルボン酸エステル点鼻)の1日1回の点鼻をよく処方します。毎日続けることが重要です。たまに点鼻するだけでは十分な効果は得られません。中くらいの時期は1週間やってしばらく休み、ひどくなってきたら、また1週間続けるという方法もあります。
● 夜に鼻づまりで苦しい方は、鼻の粘膜を強制的に縮めるお薬、プリビナ点鼻液もお出しします。使いすぎると鼻を痛めます。
● 1日1回、寝る前に、ステロイドの点鼻→プリビナ点鼻をやって寝ると、鼻づまりなく、楽に眠れます。毎日続けることが重要です。
● モンテルカストやプランルカストの<抗ロイコトリエン薬>も鼻閉に有効な場合がありますが、値段も比較的高く、あまり効果のない方もいるので、当院ではステロイド点鼻の方をお勧めしています。
● 目の症状には、
⇒<抗ヒスタミン薬>である、パタノール点眼(オロパタジン)点眼または、アレジオン点眼液
⇒<抗アレルギー薬>である、クロモグリク酸ナトリウム点眼(昔のインタール点眼)の、どちらかを用います。喘息などのある方にはクロモグリク酸ナトリウムをお勧めしています。
⇒目の症状のひどい方は、両方を併用し、1日3?4回やると良いでしょう。
⇒それでも目の症状がひどくなった場合は、3つ目の点眼液、フルメトロンの<0.1%>を、3日間だけ使用しましょう。3つの点眼を1日3回、5分の間隔をあけて点眼しましょう。
● ワンデー以外のコンタクトの方には、アレジオン点眼液なら、コンタクトのまま使用できます。クロモグリク酸ナトリウム<PF>点眼液は、コンタクトのまま使用できます。
● とにかくひどい方は、<毎日><毎日>内服、点鼻、点眼をすることが重要です。症状が軽くても、花粉は<毎日>飛散していますので、きちんと継続しましょう。

<生活対策>
● 花粉の多い時期は、窓やドアををあけることは短時間にしましょう。特に、お昼前後と、18時前後が飛散の多い時間帯といわれています。
● 花粉の多い時期は、タオルや衣類を外に干すことを控えましょう。顔に花粉をこすりつけることになります。ふとん干しも同様です。
● ウインドブレーカーなどのナイロン生地の上着は花粉が付着しにくいといわれています。帽子や花粉眼鏡も有効です。
● 家の中に入ったら、玄関で髪の毛やカラダの花粉を払い落とし、洗顔しましょう。

院長のひとことコラム・・・気管支喘息治療の目標について<2024年1月>

当院にはたくさんの気管支喘息の患者さんが通院されています。気管支喘息の治療の主体は毎日の定期吸入をつづけることであり、毎日吸入するだけで軽症から中等症の患者さんは、ほぼ無症状となります。
気管支喘息の治療の目標は・・・
1) 毎日の生活が、咳や息苦しさで困らないこと
2) 気管支喘息症状が続くことにより、年々肺機能が低下しないこと
の2つです。
● 軽症の方でも、軽い発作=気管支のアレルギーが続くことにより、気管支がだんだん細くなっていく方がいます。(リモデリングと言います。)
● その程度は肺機能検査(スパイロメトリー)を行うことでわかります。それで細くなってきている傾向のある方は、毎日の吸入を継続していくことが必要という判断になります。
● アレルギーのある動物を飼っている方や、喫煙がやめられない方が特にそのリスクが高いです。
この2つが達成できれば、そろそろ吸入をやめましょうか?ということになります。つまり、毎日の症状が全くなく、肺機能も正常な場合ということです。

院長のひとことコラム:電話受付中止の背景について<2023年10月>

● これまでは、1年以内の受診歴のある方をかかりつけとして、ウェブ枠が満杯になった後も、お電話にて症状に応じて追加枠またはキャンセル枠に追加させていただきました。
● しかし、開院当初101番から始まった診察券番号も25000を越え、多くの電話対応業務が困難となり、今回の対応とさせていただきました。労働人口減少の中、ファミレスでロボットが給仕するように、自動化・機械化が必要な時代ですので、ご理解ご協力を宜しくお願い致します。
● 当院は、専門医として発熱などの感染症や、咳などでお困りの方にできるだけ迅速に対応したいと考えており、そのスタンスはこれからも変わりません。
● 電話受付のみとなる分、ウェブ予約枠を増枠し、近いうちにオンライン診療も併用しながら、地域の皆様方のニーズに対応していきたいと考えています。 <皆様へのお願い>
● 症状が改善した等の理由で、受診されない場合は、必ず<早めに>キャンセルをお願いします。
● 受診希望の方をお断りする日も多いので、ご配慮をよろしくお願いします。
● 定期受診の方も同様に、受診ができない場合は、必ずキャンセルをお願いします。

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院長のひとことコラム:在宅訪問診療について。<2023年7月>

● 当院では、開院時より在宅で療養する患者さんに、訪問診療を行っています。対象となるのは、寝たきりや酸素療法などで病院へ通院するのが大変な患者さんや、がんの末期などで最後を自宅で過ごしたいと希望される患者さんです。
● 具体的には、月に2回ほど木曜日の午前に私とスタッフがご自宅にお伺いして、診察と採血などの検査を行い、翌日に患者さんのご家族がクリニックにきて処方せんをもらって、薬局でお薬を受け取ります。
● 通常は訪問看護を利用して、日常的なケアをしてもらいます。
● 訪問診療では採血の他、心電図やエコーなどの検査も可能です。
● 基本的に24時間、365日の対応をしています。入院が必要な場合は、病院へ紹介します。
● 以下のような方で在宅訪問診療をご希望される方は、通院中の病院または当院へご相談ください。
 ☆高齢や酸素療法などで、病院への通院が困難。
 ☆寝たきりになり、在宅での療養を希望。
 ☆がんの末期で、最後を自宅ですごしたい。
● 病院と異なり、常にお医者さんと看護師さんがいる訳ではないという不安もあるかとは思いますが、住み慣れた家で家族や友人とふれあいながら療養できるのが、在宅療養のなによりも良い所です。

※ 当院では、上記の様な定期訪問のない患者さんへの、発熱時などの急な往診は行っておりません。理由は、クリニックに受診できないほど具合は悪い場合は、通常入院が必要となるためです。かかりつけの患者さんは電話対応で病院へ受診できるように紹介を手配します。

院長のひとことコラム:
新型コロナウイルスの取り扱いは、<2類相当から5類へ>・・・<感染症法>という法律があります。<2023年4月>

● なんのことかわかりにくいですね。少し説明してみます。
● そもそも重症感染を起こす強毒病原体が社会に流行すると大変なことになるため、<感染症法>という法律で感染病原体を<分類>し、対応をきっちり決めています。
☆「例えば、アフリカで以前流行した<エボラ出血熱>という感染症は、致死率50%以上といわれた恐ろしい感染症です。<感染症法>では、この病気に感染した人を法律で入国禁止にしたり、原因ウイルスの研究使用にも制限をつけています。
● <感染症法>での分類
☆「1類・・エボラ出血熱など・・・非常に危険→最大限の制限
☆「2類・・結核、SARSなど・・・流行すると危険→今回の制限
 ※ 新型コロナウイルスは、この2類に相当する分類<新型インフルエンザ等>という特別分類にされています。
☆「3類・・腸チフス、コレラ・・・飲食業者、食品製造者などが感染すると困る → 従事者への定期検査、仕事制限。
☆「4類・・狂犬病、マラリアなど・・特定の生物を介して感染するもの → 対策あり
☆「5類・・・インフルエンザ、性器クラミジア・・・広範な流行により、社会的な影響のある病原体
 ※ 新型コロナウイルスも、この<インフルエンザと同じレベル=5類相当>に変更される ということです。
● つまり、以前のインフルエンザとほぼ同じ扱いになるということでしょう。インフルエンザは、幼稚園や学校は、<感染症法>ではなく<学校保健安全法>により、登園登校制限が定められています。幼稚園や学校では、新型コロナウイルスもこれに準じるのか、それとも全く普通のカゼ扱いで、登園登校制限もなくなるのか、よくわかりません。
● 学校関連の子どもや先生以外は、インフルエンザにかかっていても、特に法律的な制限はありません。以前から特効薬を使用して出勤するという方もいました。
● <インフルエンザ相当>になったら、特に仕事の制限はなくなるのでしょうか? もちろん、インフルエンザも会社によっては「解熱するまで出勤停止」など独自の制限を作っていたところもありました。また、高齢者施設や介護の現場など高齢者に接する職場では、あらたに制限されるのかもしれません。

院長の一言コラム・・・新型コロナウイルスによる発熱についての情報<2022年8月>

●急いで検査する必要は全くありません。
●なぜなら、99%の方は<かぜ薬と解熱剤>を飲んで数日寝ているだけでよくなるからです。特効薬を使用するのは、70歳以上の方や、ひどい基礎疾患をもっている方だけです。
●発熱や強い咽頭痛がでてから、24時間くらいたってから抗原検査をすると、10分ほどで結果が判明します。下記の図のように、抗原キットは、症状出現後12~24時間以上たたないと陽性にならないので、注意が必要です。
●たまに、無症状で感染している人があり、その方は抗原キットで調べることが必要です。
●特に、家族が濃厚接触者になり、すでに隔離されている場合は、数日後に検査しても、10日間の隔離は<発症日から>になります。従って検査での診断が遅くても、発症した日からカウントしますので、隔離期間が長くなることはありません。
●濃厚接触者が発熱した場合は、検査せずに、<みなし陽性>=状況と症状から「新型コロナウイルスに感染していると診断する」ということです。検査をしていなくても、医師がこのように診断すれば、検査で陽性となった方と同じ扱いになります。証明書も同じように受給できますし、保険請求も問題ありません。
●会社で「きちんとPCR検査を受けてこいといわれた」という方もおられますが、医師が診断をすれば、検査は不要です。もちろん、100%確実ではありませんが、PCR検査でも早期には陰性になり100%ではありません。医師の診断があれば十分です。
●現状では、発熱外来の希望者が大変多いこともあり、まず未診断の方を優先して検査させて頂きますので、ご了承ください。
●また、ゆるく考えれば、ほとんどの方は軽症で自然になおるので、放置しても問題ないくらいです。本当に検査が必要なのは、重症化するリスクのある高齢者や、ひどい基礎疾患をお持ちの方だけです。

院長のひとことコラム:「認知症」について<2022年5月>

転勤の多い勤務医から開業医となり、同じ患者さんを10年以上連続してみるというのは私にとっても初めての経験です。その中で、残念ながら、途中から徐々に認知症が発症していく方もおられます。
今回は、私見も含めながら、認知症について書いてみます。
認知症の発病年令
* 早い方は、70代後半から認知症が発症します。
* 85歳を過ぎると、ほとんどの方が多かれ少なかれ、認知症がはいってくると考えましょう。厚労省の資料によると、85歳から89歳では約40%の方が認知症です。
* 90歳を超えると、認知症が全くない方はほとんどいません。高齢になってでる認知症は、加齢に伴う自然現象です。
* 「私は認知症かも?」と心配している方は、ほとんど認知症でないか、軽症です。認知症の方は、そういう認識がなく、もの忘れ外来などをお勧めしてもいやがります。
認知症のタイプ
* 80歳過ぎまで認知症になる方の多くは、<アルツハイマー型>の認知症です。これまでできていたことができなくなる、ついさっきしたことを忘れてしまう、振り返って近くの人に聞いたりする、適当にとりつくろう、などの特徴があります。
* 85歳以上の高齢者に多いのが、<脳血管性認知症>です。長年の高血圧や糖尿病などにより、脳の動脈硬化が進んだ結果、脳が萎縮して起こります。自然な加齢変化でもあります。若年者でも脳卒中などを起こすと合併しやすくなります。
* それ以外の少ないタイプで、ないものが見える(幻視)を特徴とする<レビー小体型認知症>や、性格変化、社会性欠如などを特徴とする<前頭側頭葉型認知症>という認知症もあります。
* 50歳から60歳前後で発症する、「若年性認知症」は、100人に1、2人程度と珍しい病気です。
認知症の診断
* 上記の症状が疑われる場合には、当院から総合病院の「もの忘れ外来」に紹介します。
* そこで専門医の先生が、色々な質問(長谷川式、MMSEなど)の実施や、脳MRIの実施をして総合的に診断してくれます。
認知症の治療
* 専門医の先生から内服薬をすすめられた場合は、当院にて処方や調整をします。
* 不眠や、不穏(おちつかない)、易怒性(おこりっぽい)などの症状に対しても、内服治療を行います。コントロールがうまくいかない場合は、専門医の先生にコンサルトします。
認知症の予後
* 発症年齢や、認知症のタイプにもよりますが、内服治療をしていると、進行はゆっくりです。
* しかし、数年から10年くらい経過すると、徐々に身の周りのこともできなくなってきます。
* 可能な範囲で、介護サービスを利用しながら自宅介護をしてあげられると良いですが、自分の家がどこだかわからなくなる、介護が限界となった場合は施設入所を考えましょう。ケアマネジャーさんが相談にのってくれます。
* 当院でも主治医意見書や施設入所の診断書、紹介状などを用意します。
認知症の患者さんへの対応
* 認知症は病気ですので、注意したり怒ったりしても改善は得られません。
* 記憶障害は進んでも、感情は残る。」とも言われますので、周囲がいらいらしていたり、冷たく接したりすると、患者さんも落ち着かなくなって徘徊したり、怒りっぽくなったりします。
* 病気だからと割り切って心をしずめ、「本人にあわせた行動をとる」ことが重要です。
* 例えば、「財布がなくなった」といえば、「では、一緒にさがしましょう。」→しばらくしたら、「見つからないからお茶にしましょう」とすれば、その後は財布のことは忘れているかもしれません。
* 自分よりしっかりしていた両親が、どんどん色々できなくなることはつらいことですが、認知症は病気でもあり、加齢現象でもあります。現実を受け止めて、色々相談したり、介護サービスなどを利用しながら、人生の終末期をできるだけ穏やかに楽しく過ごせるようにしたいですね。
認知症の予防
* まず、これを飲めば認知症にならない、予防できる、という薬はありません。根拠のないサプリなどにお金を払うのはムダです。
* 認知症になるリスクというものは、下記のようなものがありますので、それぞれに対して対策をしていくことが大事でしょう。
 ☆ 動脈硬化をきたす病気・・・高血圧、糖尿病 →治療をしっかりする
 ☆ 動脈硬化をきたす生活習慣・・・喫煙、肥満 →禁煙、運動、減量
 ☆ 加齢、活動性の低下、難聴・・・色々な活動への参加、脳トレなど
当院では、認知症の患者さんの治療もおこなっています。遠方の病院などへ通院されている方も紹介状をもらってきて頂ければ、当院での継続処方が可能です。

院長のひとことコラム:「けんしん」受けてますか?<2022年4月>

●人が死ぬ原因は、老衰以外では、動脈硬化病(脳卒中、心筋梗塞)か、がんですね。その2つともを、きちんと「けんしん」して、防げる病気は防ぎましょう。
●必要なけんしん
・特定<健診>・・・生活習慣病(成人病)の健診、血圧、コレステロール値、血糖値、腎機能、貧血などをチェックする。
・がん<検診>・・・がんを早期に見つけるように検査する。
* 肺がん検診=胸部レントゲン
* 大腸がん検診=便をとる検査
* 前立腺がん検診=採血でPSA値をみる・・・男性のみ
* 乳がん検診=2年に1回、マンモグラフィー・・特に、40代と50代の女性は必ず受けましょう。
* 子宮頸がん検診・・・20代から始まります。ピークは30代から40代です。若い女性の方は、ワクチンを打っている方も必ず受けましょう。
●国保(国民健康保険)の方、75歳以上の方は、自分で予約して受けましょう。当院では、定期通院の55歳から80歳の国保、後期高齢の方、全員に定期的に実施することを目標としています。定期通院でない方は、電話でお問い合わせください。
●社保(社会保険、協会けんぽ など)の方は、そちらから案内がありますが、会社により、全部のがん検診が行われなかったり、配偶者(奥さん等)まで十分に健診・がん検診をやってくれない場合(会社)もあります。
・その場合は、自分で、市の健康づくり課等へ電話して、がん検診のハガキを取り寄せる必要があります。
●けんしん をせずに、進行癌でみつかりやすい方・・・気をつけましょう
・国保の方で、自分でけんしん予約をしない方
・社保の方の奥さんで、会社から案内のこない方
・退職してから、けんしん方法がわからずに、数年間けんしんをしていない方
当院でご相談ください。

院長のひとことコラム・・・抗原検査が陰性なら安心?<2022年3月>

●市販もされている抗原検査ですが、その判定には少し注意が必要です。
●PCR検査はウイルスの遺伝子を、特殊な機械を使って増幅させて調べる検査で、ごくわずかなウイルス量でも検出することが可能です。
●抗原検査は、ウイルスが十分増えた菌体成分を検出するので、ある程度ウイルスが身体の中に増えないと陽性になりません。

つまり、抗原検査は、感度が低いので、でれば陽性でほぼ確定ですが、コロナに感染していても、早い時期では陰性になってしまうことに注意が必要です。判定には感染症に詳し医師の判断が重要です。
PCR検査でも同じですが、検査があまり早すぎると、検査で陽性の検出ができないことがあります。インフルエンザと異なり特効薬を使うことはほぼありませんので、あわてずに半日から1日くらい時間をおいてから発熱外来に受診して下さい。

院長のひとことコラム:NO(エヌ・オー=一酸化窒素)<2021年12月>

「吐く息の<NO(エヌ・オー=一酸化窒素)>を調べると、ぜん息かどうかがわかります」
●気管支にアレルギーの炎症が起こると、NOの値が上昇します。成人では15以下は正常。40以上に上昇している場合、ぜん息である確率は90%以上といわれています。
●吸入薬などでぜん息が改善してくると、値が小さくなるなど治療の目やすにもなります。
●ただし、ぜん息でも全く上昇しない方もいますので、ぜん息かどうかは総合的に判断することになります。
●この検査は3割負担の方で、720円かかります。

院長のひとことコラム:ピロリ菌について<2021年10月>

「あなたは、自分の胃にピロリ菌がいるかご存じですか?」
●ピロリ菌がいる方は、慢性胃炎になる → 胃がんになりやすい。
●胃がんの患者さんの95%以上は、ピロリ菌がいるか、過去にいた方です。
●胃潰瘍や十二指腸潰瘍のある方も90%近くがピロリ菌陽性です。
●若い方も、一度は胃カメラを受けて自分の胃にピロリ菌がいるかどうかを調べましょう。→いる方は、1週間お薬を飲むだけで除菌できます。
●採血で調べる方法もありますが、50歳以上の方にはお勧めできません。
●ヘリコバクター・ピロリ菌の感染経過
 ・ピロリ菌は、赤ちゃんから幼稚園くらいに、井戸水や親子間などで感染するといわれます。
 ・胃の出口のあたりに住みついたピロリ菌は、その後20代-30代-40代と徐々に胃の中を上の方へ広がり、いわゆる<慢性胃炎>を起こします。やがて50代過ぎには胃全体が荒れた状態となります。
 ・荒れた粘膜(慢性胃炎)から、胃潰瘍が発生しやすく、胃がんも発生しやすくなるのです。
●ピロリ菌は高齢者に多いが、若い方も陽性の方はいます。
 ・70代-80代の方、およそ70-80%の方はピロリ菌が陽性(または除菌後)
 ・50代-60代の方、およそ40-50%の方が陽性。(または除菌後)
 ・30代から40代の方、およそ20-30%の方が陽性。(未除菌の方も多い)
 ・20代前後、およそ10%前後の方が陽性。
 ・ピロリ菌が感染しても、自覚症状は少ない(または、ない)ので、検査をしないとわかりません。
 ・各年代の陽性率は年々低下しています。

<まとめ>
●自分の胃がピロリ菌に感染しているかどうかを知ることが重要です。
●調べるためには、健診で胃カメラを受けるか、自費でピロリ抗体をしらべます。
●当院でも採血による、自費のピロリ菌の検査=ABC検診を実施しています。3500円+税です。ご希望の方は、予約は不要ですので、自由に来院して頂き、受付にて「ABC検診を希望します」とお伝え下さい。
●ピロリ菌がいる方は、できるだけ若いうちに除菌治療をしましょう。
●保険での除菌治療を行うためには、一度胃カメラをすることが必要です。
●当院でも35歳以上の方には胃がん検診として、「鼻からの胃カメラ」を受けることが可能です。「鼻から」は、口よりもずっと楽に検査できます。
●除菌をすることで、胃がんになるリスクが3分の1程度になるといわれています。しかし、ゼロではないので、除菌しても定期的な胃の検査は必要です。

院長のひとことコラム:RSウイルス感染症について<2021年8月>

●RSウイルスは細気管支炎=枝分かれしていく気管支の先の先、細い気管支に炎症を起こします。→ゼーゼー、ゼロゼロしやすい。
●特に4ヶ月未満の乳児や新生児がかかると命に関わることもあるので、流行期は生まれたばかりのお子さんのあるお母さんは、ショッピングモールの遊び場や保育園などに連れて行かない、上のお子さんからうつらないようにするなど特に注意が必要です。(実際、難しいですが。)
●RSウイルスは、毎年のように何回もかかります。小さい子ほど5日連続で発熱したり、ひどく症状がでます。小学校以降や成人では鼻水がでるだけのこともよくあります。
●RSウイルスは、新型コロナウイルスと同じように、「特効薬」はありません。合併症として、急性中耳炎になりやすいです。
●ご両親のどちらかが、小児喘息やアトピー性皮膚炎などのアトピー体質をもっている場合、RSウイルス感染により喘息様気管支炎を合併することがあり、夜の咳がひどい場合は吸入療法などが必要になります。
●また、そのご両親にも感染すると、発熱や鼻水は軽度であっても、そのアトでひどい夜の咳発作が出現することがあります。
●鼻かぜ(透明の鼻水のでるかぜ=ウイルス感染)は、全般に気管支喘息を悪化させます。サルタノールなど気管支拡張薬をおもちの患者さんは、積極的に使用しましょう。
●また、RSウイルスは、長引きます。発熱や鼻汁がなくなって、咳が改善しても、細い気管支炎が改善して元のきれいな気管支にもどるのに、数週間から数ヶ月かかるともいわれます。そのため、RSウイルスに感染したあとは、ちょっとした風邪でも、喘息様気管支炎のような夜のひどい咳がでやすくなります。そうした場合も吸入療法が有効です。

ひとことコラム:血圧について<2021年7月>

<血圧は、朝一番に、自宅で、測りましょう。>
<血圧の常識>
● 多くの人は、朝起きた後が1番高く、昼はそこそこ下がり、夕方少し上がる。
● 入浴後は、汗をかくため、1から 2時間低めに出ることが多い。
● 血圧は、1種の老化現象で、10年たつと6ずつ上がるとも言われる。塩分摂取が多い人ほどわかりやすい。
● 血圧は、冬に高くなり、夏になると低くなる。

<あなたの計っている血圧は真の血圧ですか?>
【白衣高血圧】・・・クリニックや病院で測ると血圧が上がってしまう人。普段は全然血圧が高くないのに、病院関係では緊張して血圧が上がってしまう方です。この方が誤って血圧を下げる薬をもらってしまうと、家で下がりすぎて、ふらついたり失神したりすることがあります。このような方は、家の外では原則血圧をはからず、家庭で測った血圧を記録して持参するようにしましょう。
【仮面高血圧】・・・本当は高いのに、低いと信じている方。例えば、朝は158/90位あるのに、昼に120/80くらいに下がっている方です。昼のさがっている時間帯に会社などで測って、自分の血圧は大丈夫だと安心している方。下の正しい方法で自宅で、<朝一番の血圧>を測ってみましょう。

【正しい血圧の測り方】
朝起きてからおトイレを済ませ、ゆっくり座って5分間安静にしてから測りましょう。手首も悪くありませんが、できれば上腕(二のうで)で測ることが学会より推奨されています。余裕があれば、数分以上あけて2回測りましょう。その2回の平均を取ると言う考え方もあるし、2回目の値を書けばいいという考え方もあります。当院では2回目を書くことをお勧めしています。なぜなら、1回目は体動や緊張の影響を受けやすいからです。

血圧の薬をたくさん飲んでいる方、血圧が不安定な方は入浴前にも測りましょう。できれば毎日測るのが望ましいですが、忙しい方は血圧が安定しているならば、週1回か2回、<朝一番に>測るだけでも十分です。その値を血圧手帳などにメモしてクリニックに持っていきましょう。

ひとことコラム:慢性の頭痛の治療について<2021年5月>

当院では総合内科専門医として、頭痛の治療も行っています。
慢性の頭痛は、特に女性に多く、中高年の女性の3~4割程度あるといわれます。

<おもな慢性の頭痛の種類>
1. 筋緊張型頭痛・・・肩こりや首筋のコリに関連する。多くの女性の頭痛。
2. 片頭痛(へんずつう)・・・特殊な慢性頭痛。
3. 1.と 2.の混合型
4. 月経時の頭痛、更年期に関係する頭痛
5. 群発頭痛・・・中高年の男性に生じる珍しい頭痛
6. その他

よく問題となるのは、筋緊張型頭痛と片頭痛の区別です。
片頭痛の特徴は、
* 光がまぶしい(光過敏)、音がうるさく感じる(音過敏)の症状がある。
* うごくと頭痛が悪化する。じっと寝ていた方が良くなる。
* 右か左のどちらかだけが痛いことが多い=片側性。
* 弱い鎮痛剤(カロナール)だけでは効果がない。
* 吐き気を伴うことが多い。
・・・などの特徴がありますが、1.と区別ができない混合型もあります。

<解熱鎮痛剤=痛み止めの種類について>
1. カロナール(アセトアミノフェン)
(ア) 痛み止めの基本は、これです。市販もされています。
(イ) 量が重要です。成人では、頭痛の時は、500mg錠または、それを2個=1000mgまで内服可能です。30kgのお子さん用の300mgを飲んで、「効かない」という方もいますので、増量が必要です。
(ウ) 乳幼児も使用するくらいですから、副作用が全体に少なく、胃や腎臓への副作用も軽度です。

2. ロキソニン、イブ(ブルフェン)などの、「非ステロイド系抗炎症薬」=(NSAIDs:えぬせいず と医療関係では呼ぶ)
(ア) 市販されていますが、時に胃潰瘍で吐血したり、腎機能が低下したりと、こわい副作用もあります。
(イ) 鎮痛作用は、確かにアセトアミノフェンより強力です。
(ウ) できるだけ1日1回まで、胃薬と併用しましょう。

3. トリプタン系
(ア) これは片頭痛の特効薬です。市販されていません。
(イ) イミグラン、マクサルト、ゾーミッグなど数種類あり、患者さんにより、あれは効く、これは効かないなど効果が異なります。
(ウ) 中等症以上の片頭痛の方には、別の予防薬を併用します。それにより、片頭痛自体の発作頻度を減らすことができます。

4. その他
(ア) 漢方薬・・・葛根湯は筋緊張性頭痛で使用します。他にもいくつか頭痛用の漢方薬があります。
(イ) 筋弛緩薬・・・筋肉のコリをゆるめる薬です。1.に使用します。
以上のように、慢性の頭痛の種類を正しく診断し、適切な鎮痛薬を上手に使っていくことが重要です。一般に頭痛薬は、「月の半分以上の日は飲まないようにしましょう」と言うルールがあります。あまり飲みすぎると、「薬剤中毒性頭痛」というような、鎮痛薬を飲んでいないとすぐ頭痛がするような状況になってしまいます。診察を受けながら、予防薬を上手に使い、日常生活に支障のない治療状況を目指しましょう。
慢性の頭痛の診察をご希望の方は、水曜日や金曜日などの院長の内科枠でご予約をお取りください。。
(ウ)片頭痛の特効薬(新薬)エムガルティ:これまでの薬とは全く異なる新薬で、月1回注射する予防薬です。特に片頭痛の予防薬を数種類以上使用しても、月に5?10回以上ひどい片頭痛発作がでる方が対象となります。3割負担で、月1万5千円と高額ですが、片頭痛発作を半分から著効例はゼロ近くまで減らす可能性が報告されています。上記のトリプタン系鎮痛薬を多量に使用する方やひどい片頭痛発作で悩まれている方は、一度ご相談ください。

ひとことコラム:<木曜日の休診について><2021年3月>

4月1日から、当院は木曜日が午前も休診となり、終日休診となります。理由は、スタッフの処遇改善、院長の休養時間の確保が主なものです。当院は受診希望の方が多いため、ほとんどの日が2診体制となっており、患者さんも単純に2倍来院されます。予約制を導入することで、待ち時間の短縮化をめざしているため、予約日の設定、処方日数の調整など、追加の業務が生じます。また、当院では、スムーズに診療が行えるように、予約されているほぼ全ての患者さんのカルテ内容を事前に準備し、院長が必要な方はデータや画像を前日までに確認するという作業もしています。さらに、かかりつけの患者さんには、年1回の<特定健診+がん検診>をきちんと受けて頂けるよう、時期の調整なども行っています。こうした診療外の業務負担が膨大なため、木曜日を休診させて頂き、その間にパートスタッフによる業務消化を実施し、院長も午前から在宅訪問診療をすませて、日中のうちに書類業務を処理することができます。
木曜日に通院中の患者さん方には、大変ご迷惑をおかけして恐縮ですが、健全なクリニックを維持するための対策として、ご理解とご協力をお願い致します。

ひとことコラム:<アレルギーのマーチ>について<2021年1月>

アレルギーのお子さんに、このお話を時々します。ここでいうマーチ(march)とは、3月という英語でもなく、大学名でもなく、もちろん車の名前でもありません。このmarchは「行進曲」という意味のマーチで、例えば古い歌ですが、「365歩のマーチ」なんて曲もありましたね。私には「3歩進んで2歩さがる。」というフレーズが脳裏に焼き付いており、1歩しか進んでないのに2歩さがっているな? などと感じることもあります。(笑)
アレルギーのマーチは、アレルギー体質(アトピー体質)のお子さんが、ひどめの乳児湿疹に始まり、卵や牛乳といった食物アレルギーが0歳頃に出現、1~3歳ではアトピー性皮膚炎が少しでて、4~5歳では気管支喘息(気管支のアレルギー)がでてきて風邪のあとに夜の咳がおおくなります。さらに6歳以降アレルギー性鼻炎がひどくなってくる というように、行進するように順々にアレルギー疾患が発症してくることをさしています。
この体質は遺伝性が高く、たいていお父さんかお母さんが、小児喘息あるいはアトピー性皮膚炎にかかっていて、ハウスダストやダニにアレルギー反応を示す ということが多いのです。ご自身がなくても、ご兄弟がある場合も同様の体質です。
以前からそうした事実をはっきりさせずにうやむやにされていた風潮もあります。しかし、現代ではきちんと治療すれば、食物アレルギーも、アトピー性皮膚炎も、気管支喘息も生活に困らないレベルまでコントロールすることは可能ですので、心配は無用です。むしろ、そうした現状を直視して、きちんとした対策と治療を受けていくことが重要です。
気をつけるポイントは・・・

  • 乳児湿疹は、すべすべのお肌になるようにしっかり保湿して、ステロイド外用薬を適切に使用する。
  • 卵や乳の摂取開始は遅らせずに、生後5~6ヶ月で開始する。(ただし、お肌の治療はしっかりしておく。)アレルギー症状がでた場合は、病院に受診して、食べる量をしっかりとコントロールする。
  • ダニやハウスダストを環境中からできるだけ減らす。(じゅうたんを使用しない、こまめなお掃除、換気、空気清浄機の使用。)
  • 犬やネコなど毛のある動物を室内で飼わない。
  • 喘息症状(夜にひどい咳)がでた場合は、まずはテープ剤を貼る。それでもひどい時は吸入療法を行う。(来院して下さい。)
  • アレルギー性鼻炎は、4~6歳と年々悪化するので、早めにお薬を開始する。可能であれば、点鼻治療が望ましい。

上記のようにマーチのように順々にでてきますが、逆にいうと、大きくなればみんな改善してきます。小児ぜん息のお子さんも、お母さんから「スイミングをやった方が良いですか?」と質問されますが、「やらなくても、たいてい小学校に入る頃には軽くなりますよ。」とお話しています。(ただし、浜松市では5年生で<30分間水泳>なるものがありますから、その時に泳げないとこまるので、余裕があれば幼稚園でスイミングにいっておいた方が良いとは思います。)
私も小児ぜん息が軽くあり、ハウスダストやダニのアレルギーがあるアトピー体質ではあります。そのため、うちの娘三人も幼少時は、風邪をひくとゼーゼーして吸入などもしていました。でも、大きくなると症状は軽くなってくるので、アトピー体質だからといって悲観することはありません。患者さんや保護者の方にもよくお話しますが、「良いところも悪いところも遺伝します。」ということなのです。適切に対応すれば、命に関わるようなことはありませんので、過大に心配しすぎないようにしましょう。

<参考> 環境再生保全機構 のアレルギーのマーチの説明ページ

ひとことコラム:「なぜ今年はインフルエンザの検査ができないのか?」 <2020年10月>

例年であれば、冬期に高熱やひどいだるさがでると、鼻から綿棒を挿入しインフルエンザの検査を行います。うまくいくと、咳やくしゃみもなく終了しますが、なかにはひどく咳やくしゃみがでる方もいます。もし、その方がコロナ感染者だった場合、周囲にたくさんのコロナウイルスの飛沫(ひまつ)がとび、医療関係者を含む多くの人に感染させてしまう危険があります。
よくいわれるように、発熱や咳の患者さんがコロナ感染なのか、通常のかぜや気管支炎なのかを、見分けることはできません。そのため、コロナ感染の流行がひどい時期ほど、上記のリスクが高くなり、飛沫をまきちらす検査はできなくなります。頭のてっぺんから足先まで完全防御をして、屋外や専用の検査室で行うことは可能ですが、完全防御の医療用品の不足や着脱にかかる時間、コスト等を考えると、クリニックで多くの患者さんに実施することは現実的には困難です。昔はインフルエンザの迅速検査キットはなく、症状から診断していましたので、今年もそのような形になるのではないかと予想しています。

ひとことコラム:当院でもコロナ陽性の患者さんがでることはあります。 <2020年9月>

当院でもコロナ陽性の患者さんがでることはあります。 7月の浜松市でのコロナのクラスター発生の時にも色々騒ぎがありましたので、少しお伝えしておきます。
当院でも、かかりつけの患者さんを中心に、発熱やだるさが続いている患者さんを診察しています。これまでも10人以上PCR検査を保健所に依頼してきましたが、全ての方は陰性でした。しかし、今後も第3波、第4波とコロナの流行があるたびに浜松でも小流行はあるでしょうし、いつかは当院でも陽性の患者さんがでるだろうと予測しています。しかし、何もあわてる必要はありません。_
当院では急患の方全員に事前にウェブ問診を行い、予約患者さんのいない時間に来院して頂いています。さらに院内では隔離室にだけ入って頂き、トイレの利用もご遠慮して頂いています。医師の診察も短時間で、病院のコロナ陽性患者さんに対応するような完全防御で診察していますので、万が一その患者さんが陽性でもうつることはないと確信しています。スタッフも直接接することは全くなく、ウェブ問診+携帯電話で問診追加や連絡を行い、保険証もウェブ問診で画像を確認するのみで、受け取るものもありません。最も疑いの強い方は、お支払いも後日にして頂いています。診察後はすぐ車内に戻って頂き、薬局さんが車までお薬を届けて終了という形ですので、クリニック・薬局とも濃厚接触者には誰もなりません。その後、隔離室や使用器具も消毒していますので、定期通院の患者さんが院内感染する可能性は全くありません。こうした対応に対して、「院内トリアージ実施料」がコロナ疑いの患者さんには加算されますので、3割負担の方で約1000円ほど通常より自己負担額が増えますので、あらかじめご了承下さい。
当院でもコロナ感染は困るので、本音をいえば発熱の患者さんは診察したくないのです。しかし、私たちも医療関係者の端くれとして、そうした患者さんを受け入れるために日々努力していることをご理解頂ければ幸いです。
万が一当院スタッフに陽性者がでた場合は、すみやかに公表しますし、院長が元気なら診療は全てオンライン・電話で行えるよう準備もしています。

ひとことコラム:アトピー体質のある方は、注意しましょう。 <2020年2月>

アレルギーと一言で言っても、身近なものではスギ花粉症、じんま疹などの軽いものから、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギーなど色々な病気が含まれます。医学的には関節リウマチなどは膠原病(こうげんびょう)といって、同じ免疫の異常から生じる病気ではありますが、アレルギーとは別に扱われます。当院では、気管支喘息を中心に、小児のアトピー性皮膚炎の軽い方の治療まで行っています。食物アレルギーについても、軽い方は当院で対応し、しっかりした検査が必要な方は浜松医大小児科さんなどに紹介させて頂いています。
アトピー体質とは、血液の中にアレルギーを起こすIgE抗体がたくさん作られ、それが特にハウスダスト(=ダニの死がいが多く含まれる)に強く反応する患者さんのことと言います。このアレルギーが皮膚にでるのがアトピー性皮膚炎であり、気管支にでるのが気管支喘息なのです。こうした病気は遺伝性もあり、親がそういう体質をもっているとおこさんもそうなりやすいのです。かくいう私もアトピー体質があり、小児の頃はかぜをひくと咳が続いたり、ちょっとゼーゼーする程度でしたが、成人になって(医学部6年間で数回しか布団をほさなかったせいか・・・)、研修医の頃に喘息発作で入院したことがあります。最近は、吸入ステロイドを継続したりしてひどい発作はありませんが、冬になると皮膚が乾燥しやすく、ぼりぼりかくと余計に湿疹がでたりします。ですから、乾燥肌の子は、アトピー体質があるのではと疑ったりします。私の子供も3人とも幼少期にはかぜをひくとゼーゼーしたりして吸入したりをしていましたし、大きくなって検査すると、IgEが高めで3人ともハウスダストが陽性でした。
遺伝は良いところも悪い所も遺伝するので仕方ないものですので、子供の時に気管支喘息やアトピー性皮膚炎のあった方は、お子さんもなる可能性があると考えて、<出生早期から保湿を全身にしっかりした方が良い>と最近言われています。それは、ハウスダスト(ダニ)は、経皮感作(けいひかんさ)と言って、いたんだ皮膚からアレルギーが体に伝わっていくと考えられているからです。出生後は誰でも皮膚が荒れる時期がありますので、そうした時期にしっかり保湿をして皮膚をダニなどからバリアしてあげることが重要です。また、こうした子供は、卵アレルギーにもなりやすいと言われます。以前は、そうした場合は、離乳食に卵を含めることを遅らせていましたが、最新の考えでは<早期から卵を摂取した方が卵アレルギーになりにくい>と言われています。上記のようなアトピー体質のある方は、お子さんが生まれた場合はそういう対応をすると良いでしょう。私も孫ができたら、そのように勧めるつもりです。

ひとことコラム:食物アレルギーについて <2019年12月>

年度末になると、食物アレルギーの<生活管理指導表>の記載を希望される小児のお子さんが増加します。詳しい検査は総合病院にご紹介させて頂くことになりますが、ここに原則、最近の考え方を書いてみます。
1)必要最低限の除去(原因食物の禁止)をすること。やたらに何種類もダメということは実際は少ない。学校側の対応が大変なだけでなく、子供さんの発育や精神発達にも悪影響がある。→きちんと検査をして、原因食物を判定する。
2)血液のデータは<あくまで参考>であり、実際に食べて症状がでるかどうかが、原因食物と断定する証拠となる。→でる症状の軽い子は自宅で、ひどい症状の場合は、病院で「実際に少量から食べてみて症状かでるかどうかの検査(食物負荷試験)」を行って頂きます。
3)多くは3歳までに出現する、卵、牛乳、小麦のアレルギーは、大きくなるにつれて治ってくることが多い。また、「食べられるだけの量」を食べていく方が、治りやすいことがわかってきた。
4)以前食べられなかったものも、数年後には食べれる場合もあるので、定期的な検査が必要です。
そのため、用紙を持参して頂いても、すぐに記載できないこともあります。とりあえずの結果で書くことはありますが、必要な検査は受けるようにお願いします。

<参考資料>・・いずれもネット検索できます
AMED研究班による食物アレルギーの診療の手引き2017(医療者向け)
明治の食育(一般向け)
日本ハムの食物アレルギーのホームページ(一般向け)
厚生労働省による、保育所における食物アレルギー対応ガイドライン2019(医療者、保育者向け)

ひとことコラム:ノロウイルス嘔吐下痢症について  <2019年11月>

11月になるとノロウイルスによる嘔吐下痢症が流行します。この病気の特徴は、

  • 急な嘔吐で発症する。
  • その後下痢や発熱がでて、1日半程度で回復する。
  • 非常に感染力が高く、家族中にすぐ広まる。
  • アルコール消毒が無効で、次亜塩素酸(薄めたハイター等)を必要とする。

ノロウイルスには特効薬はありません。かかってしまった場合は、まずは水分をとらないようにしましょう。ノロウイルスは胃腸の動きを止めてしまいますので、吐いたからといってあわてて水分補給すると結局また吐いてしまいます。

  • 嘔吐したアト、1~2時間は水分を取らないようにしましょう。すぐに脱水になることはありません。
  • 吐き気が少しおさまったら、OS-1などを「ごくわずかずつ」「ペットボトルのキャップで飲む」くらいで、少しずつ補給しましょう。(15分~30分おき)
  • その後、下痢や38度程度の発熱がでることがありますが、半日ほどすると改善してきますので、上記のように少しずつ水分がとれ、体調がひどくなければ受診する必要はありません。
  • 嘔気が続く場合や、水分が十分とれない場合は、五苓散(漢方薬)の坐薬や内服等を使用すると改善しやすくなりますので、受診しましょう。

吐物を片付ける時に、保護者さんが感染してしまうケースが多いです。二重の手袋やマスクを使用し、ハイターや熱湯などを利用して吐物や衣類・寝具等の消毒をしましょう。

ノロウィルスの注意事項

ひとことコラム:「良かったね、早めのパ●ロン」は、本当?  <2019年10月>

この宣伝のせいでもないでしょうが、「今朝からノドが少し痛いんです。」と駆け込む患者さんがおられます。咽頭痛や鼻水のかぜ症状の大部分は<ウイルス>が原因です。<ウイルス感染>では、インフルエンザ・水痘(みずぼうそう)・ヘルペス以外には通常「特効薬」はありません。ですから、早く上の薬を飲んだから、早く良くなるというのは誤解です。もちろん、解熱剤や鎮痛剤が少しずつ入っていますから、咽頭痛や鼻水といったカゼ症状を軽くすることはできますが、ウイルス自体をやっつける訳ではないのです。感染症では、1~3日くらいで色んな症状がでて、診断もつきやすくなるので、初日に来院されても、翌日以降どうなるか医師でもわかりません。
症状がでてからすぐに受診すべき時は以下の時です。

●大人で39℃以上の高熱がでる+咽頭痛やだるさがひどい=インフルエンザの時期は、1回はカロナール等の解熱剤を使用して、発熱後6~12時間以降に受診しましょう。
●75歳以上のご高齢の方、タバコ肺等で在宅酸素を吸っている方、喘息症状のひどい方などは、38度以上の発熱がでたら受診しましょう。
●6ヶ月未満のお子さんは、抵抗力が低いので、とりあえず受診しましょう。 
●それ以上のお子さんは、咳がひどい、ぐったりしている、食事がとれないなどのひどい症状がなければ、解熱剤で1日は様子を見ましょう。